
岩国藩(吉川家が藩主だったため吉川藩という通称もある)は天下に誇る文化遺産を残しました。一つは岩国を貫流する錦川に架けた五連の橋「錦帯橋」、そして豪快無比な五段の押し寿司、「岩国ずし」です。
今から約380年前、大きな箱桶に岩国藩で収穫された米と蓮根に春菊などの青菜、椎茸、錦糸卵などをのせ、サワラやアジなどの生魚の身をほぐして混ぜ込む、保存食にするため味付けを寿司にしました。それを最高五段まで繰返し漬け、重石をし、一度に何十人前も作ります。

保存食である理由は、岩国城は山の山頂にあり、その山からは井戸を掘っても水がでなかったため、生活用水はもちろん、食事も、山の麓でつくったものを運ばなければなりません。 そこで藩主の食事をつくる調理人が、おいしく、日持ちのする押し寿司を考え出したと言います。 今でこそ一般家庭でも作られる岩国ずしですが、明治期まではごく一部の武家階層でしか食べられず、出来栄えの豪華さから、「殿様ずし」とも呼ばれています。 地元では「角ずし」と呼ばれることが多いようです。