|
「鯖を読む」というのは、少ないものを多く言うときの意味であるが、近頃の女性はサバをよんで年齢を少なめにいう。このこともサバを読むというようである。鈴木棠三の『故事ことわざ辞典』ではこれをことわざとして取り上げていない。
「さばをよむ」のは末広恭雄説というのがあって、『さかな通』という本に、
その語源は、と聞かれると一寸まごつく。本朝若風俗とかいう本に「外へは年を隠し、節分の豆もさばをよみ」とあるそうだから、ずいぶん古くから通用していた言葉らしいが、この出所といえば、魚市場の魚を数える際のごまかしからとみるべきであろう。目にもとまらぬ早業で小魚を掌に一握りしつつ「ひとつやひとつや、ふたやふたや、みっちょうやみっちょうや、よっちょやよっちょや……」と大声にやられると、何時しか催眠術にかかってしまう。そして数え上げる声が終わって、ふと我にかえった時には、既に大分してやられているという、あの魚市場の魔術がこの言葉を生んだとみる向きが多い。
とあるのだが、さばを読むというのは本来「鯖読み」というのがあって、干しあげて二枚ずつにした干しサバを二枚ずつ数えたことからついた名であると『日本国語大辞典』(小学館)に出ている。つまり、このことから、「鯖読み」というのは数をごまかすという意味で用いられるようになったという説であり、「十歳も鯖読みをする」という例をあげていることをみると、近ごろに限らず昔から女性は若く見てもらいたい信条に変わりはなかったということになる。 |