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Vol_30
第11回サバ特集
盆過ぎて鯖あきない

 福井県丹生郡越前町に「盆過ぎての鯖あきない」ということわざが残っていた。この地方では、盆の先祖供養に刺鯖を供えるしきたりがあり、夏至から11日目にあたる半夏生(はげしょう)と盆の刺鯖がとりわけよく売れたのである。したがって、「盆過ぎての鯖あきない」とは商売にならないということの意味であり、盆を過ぎて鯖を商うというのは間の抜けたことのたとえとして用いられたのである。
 半夏生は近畿地方では農休みとされており、越前や若狭地方の漁村や農村地帯では7月2日を「はぎっしょ」(半夏生)といい、農家では「さなぶり」という田の神祭りをする。そのときのごちそうにと焼きさばを一人一本ずつたべる風習があって、どの家でも待ちかねていて、何本も買ってくれる。この風習は今でも残っており、半夏生にはやはりサバがよく売れるという。また、この地方では生のサバを青サバといい、素焼きにしたものを「浜焼きサバ」といった。
 浜焼きサバは美濃の郡上八幡まで運ばれたとされる。郡上八幡ではこれを大野鯖といった。
浜焼き鯖大野は現在の大野市のことであり、越前の三国町で海に出ている九頭竜川上流の山間地である。江戸時代、ここに大野藩があって越前町の小樟と大樟はこの大野藩の藩領であった。したがって、浜焼きのサバは小樟と大樟から運ばれていたのであった。してみると、ここにも浜焼きサバの鯖街道があったことになる。

参考文献「サバの文化誌」田村勇著 / 雄山閣より

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